ダイナミック・ケイパビリティとかいう強そうな横文字(経済のお話)。
どうもガブリです。
皆さんは「ダイナミック・ケイパビリティ」という単語を聞いたことがあるでしょうか?
1997年に論文提唱されている経済用語であり、まずケイパビリティというのは、
・Capable(ケイパブル=対応できる)
・Ability(アビリティ=できる)
を組み合わせた造語で、「企業としての付加価値を生み出す能力」のことを指します。
ここ数年、意味合いが似た用語として「コアコンピタンス」というのは聞いたことがある人も多いと思いますが、コアコンピタンスの場合は名前の通り「コア=核」となる部分において着眼されており、「組織がある事業を成し遂げるために必要な能力の核となる部分について、競合他者と比べて優位性があるか」という比較目線になっています。
それに比べてケイパビリティの場合は「組織としての総合的な能力について競合他者と比べた優位性があるか」というである違いがあり、大きく分けると、
・コアコンピタンス=企業の技術力
・ケイパビリティ=企業の組織力
と言えるかもしれません。
そんなケイパビリティという概念ですが、2つの種類に分かれます。
それがオーディナリー・ケイパビリティとダイナミック・ケイパビリティです。
オーディナリー・ケイパビリティは自社の経営資源を利用して効率的に価値を提供する基本的な企業の能力を意味します。
ダイナミック・ケイパビリティは環境の変化に対して企業を自己変革していくという能力を意味します。
つまり、オーディナリー・ケイパビリティは企業として物事を正しく行うという基本概念であり、その上位互換としてダイナミック・ケイパビリティが存在するのですが、ダイナミック・ケイパビリティは環境変化にも応じて自社が持つ資源を組み合わせることで企業の優位性を確保するという手法のことを言います。
もちろん確固たるサービスを提供するオーディナリー・ケイパビリティという概念も大切なことですが、現代ではより柔軟さが求められるダイナミック・ケイパビリティという概念が重要視されていて、「会社に長く勤めているからその会社の良さを人一倍提供できる人」よりも「環境に応じて会社の強みを社会に提供できる人」の方が優位性があったりするのです。
このように聞くと、「ダイナミック・ケイパビリティを発揮できるのは企業としても大きすぎない中小企業じゃないと無理でしょ」と感じる方もいるかもしれませんが、実際に過去には大手企業でもダイナミック・ケイパビリティによる成功をおさめているところがあります。
その代表例が「富士フィルムホールディングス」です。
富士フィルムといえばその名の通り、写真フィルム事業を行う企業で、古くは樹木希林さんがCMをされていたことでも有名です。
しかしデジタルカメラが主流になってきたときに経営危機が訪れ、存続のためには事業転換することを迫られました。
そのときに富士フィルムはフィルム事業で有していた技術を用いて、液晶の時代に必要となるディスプレイ材料の事業展開に多額投資したのです。
その後も時代に順応するため、写真フィルムと化粧品の製造技術の類似性に気づき、スキンケア事業にも注力することで企業価値をどんどん高めていきました。
このように、ダイナミック・ケイパビリティという概念は時代の変化によって経営が危ぶまれるときこそ力を発揮するという意味では、現代の新型コロナウィルスによる経済的ダメージにも転用できる何かがあるかもしれません。
今こそ大事な概念だからこそ、皆さんも自社にはどのような強みがあり、現代においてその価値をどのように転用できるのか今一度考えてみましょう🙆🏼♂️