#経済ニュースをガブリ

宅建士、賃貸不動産経営管理士、FP2級、AFPとして活動するの私ガブリが経済ニュースや日常を綴っていきます🖋

集英社出版の“人新生の「資本論」“を読んで。

どうもガブリです。

 

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個人的に本を読むのが好きなので、気分に合わせて小説やビジネス本など読むんですが、たまに真面目かつ深みのあるテーマが描かれていることの多い新書が読みたくなったりするんです。

 

そこで本屋さんで見つけた「人新生」という聞き覚えのないタイトルがなんとなく気になって、「資本論」という聞き覚えのあるタイトルでさらに気になったので手に取ってみました。

 

人新生(ひとしんせい)とは「人類が地球を破壊し尽くす時代」のことをいうと説明されていますが、この本の論調はとにかく興味深かったです。

 

普段本を読むことが多い方だし、こういう小難しい話も好きなんですが、正直本の全容が理解できるほどの集中力と読解力がなかったので、所々覚えてはいない笑

 

ただ面白いテーマだったので、今日は珍しくこの本について書いていこうと思います🖋

 

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まず本著を読み解くには、「マルクス主義」という社会主義的思想体系について知っておく必要があって、“人新生の資本論“はこのマルクス主義を現代版としてアップデートしていこうとする試みともいえます。

 

具体的にどういうことかというと、人類の経済活動が地球に悪影響を与えていることの問題点について触れていて、昨今ではSDGsエスディージーズ)と呼ばれる「持続可能な開発目標」、つまり環境などに配慮した社会活動を心がけるよう言われている中で、多くの企業がこの活動に積極的でありつつも、それそのものが環境破壊などにつながっているというジレンマもあるのです。

 

現代は長らく「地球温暖化」など気候変動による問題も続いており、その原因が人類の経済活動によるもの(二酸化炭素の大量供給など)だということは既知の事実であるかと思います。

 

それはつまり「資本主義」であることが問題であるということでもあり、どうやって現代の問題的な資本主義から脱却するのかという論調も本著には含まれます。

 

さらに、資本主義社会では貧富の差が激しくなるというネガティブな側面を持つ反面、例えば先進国の農産物なども大量消費できれば先進国の人たちも儲かるので、富を広げていくこともできる気がしませんか?

 

でもこれについてもそのようなことになっていない事実があるそうです。

 

どういうことかというと、例えば昨今の南米チリでは、世界的なアボカドの消費増によってアボカドの栽培に力を入れるようになり、輸出用のアボカドを大量供給しています。

 

しかし、アボカドの栽培には大量の水を必要とし、さらに土壌の養分も吸い尽くしてしまうため、アボカドの生産地では他の果物などの栽培が困難になったりするそうです。

 

しかも先進国の人々は貧しい生活を送っている人も多く、資本主義の世界に供給する用のお高い食物を大量に生産すると、同時に自分たちの生活に必要な廉価な食物の生産ができなくなったりしてしまうとのこと。

 

これでは一見資本主義の恩恵を受けているようでそうではないというパラドックスに苛まれることになるので、このような状況を鑑みても「脱資本主義」の論争は一理あると言わざるを得ないと思いました。

 

さらにこれらの現実をカール・マルクスが描いた代表作「資本論」と照らし合わせながら、さらにマルクスの新資料である研究ノートの記載にも触れつつ読み解いていくことで深みのある論調に発展させているので、後半は資本論について詳しい人ほど納得にいく展開になっていると言えるかもしれません。

 

現代に蔓延るいろんなジレンマやパラドックスなんかに気付かされる一冊であることは間違いないので、現代社会を専門的な観点で学ぶツールとして必読の一冊だと思います🙆🏼‍♂️