紳士服「はるやま商事」が起こした賃料未払いについて。
どうもガブリです。
昨日、岡山市の紳士服大手「はるやま商事」と「はるやまホールディングス」が店舗用建物などの賃料に未払い分があったという報道が出ていました。
これもしかすると一般の人や、ちょっと不動産投資を勉強したことあるような人だと「?」となる可能性もあるかなーと思って、記事にしてみます💡
その具体的な内容はどんなものかというと、上記2社は消費税が8%に引き上げられた2014年4月以降、店舗用の建物や駐車場の賃貸借契約を結ぶ36業者に対して、増税分にて上乗せとなる賃料を払っていなかったというもの。
2019年10月以降は消費税が10%となっているため、その未払い分が2019年11月時点のものでも計約2,800万円にものぼるということで、それなりに大ごとになってしまったのが今回の件の概要だ。
この件について世間は「悪質だ」などの批判から、「請求する側にも問題があるのでは?」という擁護的な意見、さらには増税反対派からは「よくぞやった!はるやまは今後も当税金について払わないと戦うべきだ。増税が悪いのだから」などの過激な意見もあった模様。
ただ、今回はこの件そのものに言及しようと思っているわけでなく、
そもそも増税すると家賃って上がるんだっけ?
という点についてです。
多くの人が引越しの際に家賃を気にしますが、その際に説明される重要事項説明書などの説明については「よくわからないけど、そういうもんだと思って契約した」なんて人が多いのも事実です。
でもその後増税時に賃料は上がっているでしょうか?
上がっていませんね?
もちろん近場の情勢や路線価の変更などによる家賃の増額交渉が、物件オーナーから管理会社を介してされるということはありますが、これは増税によるものではありません。
では今回のはるやま商事の件ではどのようなことが指摘されているのでしょうか?
結論をいうと、人が生活をする「居住用」の場合の賃料は非課税であり、事務所など居住用でない場合は課税対象だということだ。
はるやま商事が指摘されている賃料の件は、社宅などの住居ではなく、店舗の賃料なので当然「事務所等」の部類に入ります。
つまり賃料200万円で5%の消費税の時には200万円+消費税5%
=210万円
であり、消費税が8%に変わったのなら200万円+8%
=216万円
を支払わなければならないということである。
でも!
例えば増税前の契約で賃料200万円だったとして、これが「税込み」と表記されている場合はどうなのか。
この場合どのような見方になるかというと、200万円の消費税5%税込みの場合は、95%の約190万円が実質の賃料であり、残りの5%が消費税になっているわけで、消費税が8%の場合は92%にあたる約185万円しか実質賃料が払われていないという見方になってしまいます。
これを法律上では「買いたたき」といい、実際には税込表記の増税の際には、消費税率の引き上げ後の賃料(税込み)について、消費税率の引き上げ前の賃料(税込み)と同額を支払うことは、“合理的な理由がない限り“は違反ですということになっています。
つまり、消費税5%時に200万円(税込み)なのであれば、消費税8%時には206万円(税込み)といったかたちで支払う必要があるということ。
はるやま商事での当件では、公正取引委員会がはるやま商事、はるやまホールディングスに対し、未払い不足分に関して速やかに賃貸人に支払うよう勧告し、同社はこれに承知した。ということで終わっていますが、大手といえども「知らなかった」かもしれないとは言え、約2,800万円を速やかに用意するのはそれなりに大きな負担なはずだ。
もしも自営業にて事務所を借りている方や、法人経営をされている方で増税時の賃料についてあまり考えたことがない人は一度確認してみるといいと思います🙆🏼♂️
公正取引委員会から発表されていた図解はこちら↓