今年4月にあった民法改正とは。(後編)
どうもガブリです。
今日は昨日の後編ということで、民法改正によって、物件売買の際の瑕疵担保責任の変化について掘り下げていこうと思います。
瑕疵担保責任の内容については昨日の記事を読んで欲しいですが、
4月の改正により、今まで「瑕疵担保責任」と書かれていた文言については「契約不適合による〇〇」みたいな感じで表記されることとなり、瑕疵担保責任という概念の代わりに「契約不適合責任」というものが導入されることとなりました。
瑕疵担保責任の性質は、売主に対して重い責任を科すものでありますが、それがあまりに重ずぎることから商習慣とはかけ離れたものとなり、結果的に今までは契約書の文言にて重くなりすぎないように調整することが可能だったのです。
ただ、時にそれは買主の責任を重くすることにも繋がるので、このあたりの解釈が難しいところでもありました。
しかし、今回の改正により、買主と売主との責任バランスが調整され、契約責任について解釈が色々と見直されることになったのです。
これにより、今までは売買において引き渡しに問題があった場合は「契約の解除」もしくは「損害賠償の請求」のみという範囲でしたが、民法の改正によって「追完請求」と「代金減額請求」が可能になりました。
その内容は「追完請求」については、契約時の説明と反する物件だった場合、後に補修や代替物の引き渡しを請求できるもので、契約時の説明と適合する完全な契約の履行を求めるものです。
「代金減額請求」に関しては、その名の通り。
このように、買主が請求できる範囲が増えたことによって、不適切な売買だった場合の買主の権利がより守られるようになったのです。
(契約不適合の理由が買主にある場合にはもちろん売主に請求はできません。)
民法上はこのような請求をするにおいては引き渡しから1年以内とされているので、引き渡し後1年以内に売主へ通知する必要がある点にも注意です。
改正後の民法を全日本不動産協会では、このように表記しています。
さらに物件売買以外のシチュエーションでは、例えばA社が建築材料をB社から仕入れるための契約を結び、その後B社はコロナの影響で建材の納期を守ることができなかったとする。
この場合、改正前はB社に帰責事由がないので、契約を解除することができなかったが、改正後の民法では債務を履行しなかった者に帰責事由がなくても。その相手は契約を解除できるというものに変わりました。
しかし、改正前のように、「引き渡し後、3ヶ月以内であれば隠れたる瑕疵について売主が責任を有する」というような、つまり3ヶ月以降は責任を取らないとする文言も契約上は今後も可能なので、買主側も請求できる責任が増えたといっても、契約内容には気をつけておかないとトラブルの原因になることはあるので、今回の改正を知った上で、双方にとって適切な契約ができるように心がけましょう!