暦年課税と相続時精算課税の有効活用。(後編)
どうもガブリです。
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昨日は暦年課税と相続時精算課税制度の仕組みについて簡単に書いていきましたが、今日はその続きを書いていきたいと思います🖋
昨日は贈与税では年間110万円以下は非課税、相続時精算課税制度では合計2,500万円までの贈与は非課税ということについて書きましたが、相続時精算課税制度については生前贈与が2,500万円以内に収まっても相続時に贈与と合計して2,500万円を超える財産がある場合には相続税として計算をすることになります。
ちなみに生前贈与時点で2,500万円を超えてしまった場合には、一律で超えた部分に関して20%の課税となります。
これらを見ると、「なんかめんどくさいから贈与とかなしにそもそも相続税だけあればいいんじゃない?」と感じる人もいるかもしれませんが、贈与税の役割としては、相続税対策として存在しているという一面があります。
暦年贈与では年間110万円以下を非課税としているわけですが、このルールが存在しないと生前に相続税がかかることを嫌がって全ての財産を非課税で贈与できてしまうことになります。
そのため暦年贈与では年間110万円を超える部分に関して課税するというルールに加えて、超過累進税率というものを採用しており、同じ年に多額の贈与を行うと金額が大きくなるほど税率も高くなるというルールになっているのです。
するとそもそも「なんでそんなに税金取りたいわけ?」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、相続税は「富を持つ家計が常に富を持ち続ける」というものに対しての対策の一つです。
そして贈与税は相続税を補う役割をしているということになります。
もしも相続税などが存在しなければ、例えば数十億円の資産価値を誇る金融商品などを持つ家庭があった場合に、その資産から得られる不労所得などが多額にあると、もうその家系は代々働かなくても不労所得で生きていくことができてしまうので、それに対する不公平感を解消する意味で「簡単に財産は受け継がせないよ」というものになっているのです。
では話を戻して暦年贈与を利用するポイントについて見てみましょう👀
昨日の記事では相続時から3年以内に贈与を受けている場合、相続税として課税されることについて書きましたが、場合によっては相続税に加算されないケースもあります。
それは「贈与税の配偶者控除」や「直系尊属からの住宅取得等資金贈与」などの制度を利用した場合です。
これらの詳細についてはここでは割愛しますが、これらを利用した場合には相続時から3年以内の贈与についても相続税の課税価格に加算されることはありません。
しかし、この場合は贈与を受けた財産の価額が年間110万円以下であっても贈与税には加算される点には注意が必要です。
ただ、例外として贈与を受けていた人が贈与者から相続などにより財産を取得していない場合には加算されません。
例えば、祖父母から贈与を受け取っていた孫が、その祖父母が死亡した際に相続や遺贈により財産を取得しない場合については、相続時3年以内に贈与を受けていた場合であっても相続税の課税価格には加算されないということです。
一方、相続時精算課税制度を利用している場合には、その相続時精算課税に係る贈与者(上で言うところの祖父母)から相続などにより財産を取得していない場合であっても、相続時精算課税を利用することを申し出た後にその贈与者から贈与を受けた贈与財産の価額については、全て相続税の課税価格に算入されるので気をつけましょう。
まぁ書いてても思いますが、とにかく複雑です。笑
しかも一度相続時精算課税制度を利用すると暦年課税が利用できないという点でかなり慎重になる必要があり、ほとんどの人は暦年課税を自動的に選択していることになっていると思います。
しかし、相続時精算課税制度があるんだということを知っていれば、いつかそれを利用する方がお得という時が来るかもしれないし、誰かに助言できることもあるかもしれません。
税金については法改正などもあるので余計ややこしいですが、基本的なことについては覚えておくようにしましょう🙆🏼♂️