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財産管理を家族に任せる「家族信託」。

どうもガブリです。

 

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将来のために資産形成をしている人が増えてきた今、それを堅調に行えば老後の資金にも余裕が出てくるかと思います。

 

しかし高齢になると身体も弱くなり、80代後半では35〜45%程度の人が認知症になっているというデータもあるため、せっかく守ってきた資産を老後も守っていけるのかというのは一つのテーマになります。

 

そこで検討されるのが家族信託。

 

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家族信託とは、自身で財産管理ができない高齢者に代わって、財産を管理する権利のみを家族など信頼のおける人に託すという制度です。

 

その仕組みについては、家族信託の場合「委託者」「受託者」「受益者」の3者に分かれ、委託者は財産を保有している人、受託者は依頼を受けて実際に財産の管理を行う人、受益者は財産から生じた利益を受け取る人とで分かれています。

 

この場合、委託者は高齢者であり、受託者は信頼のおける子供などになる可能性が高いかもしれませんが、受益者に関しては必ず受託者と同人を設定する必要はなく、その他の人でも自由に決めることができます。

 

これらの手続きについては、「信託契約」というものが正式に必要であり、契約書を作成して相互に署名押印し、財産の名義を移します。

 

その上で家族信託用の専用口座を開設して、その中で財産管理をするということになります。

 

契約書については「信託の対象となる財産」「委託者」「受託者」「受益者」「相続に関する取り決め情報」などを明記し、公証役場公正証書という正式な書類にしてもらうことも重要です。

 

このように家族だからといって口約束で終わらせるのでなく、正式な手続きを経て行うのがポイントです。

 

信頼できる相手だからといってこのような手続きをおろそかにしてしまったせいで、相続時にトラブルになるというケースはたくさんあり、「家族だから大丈夫」ではなく、「大事な家族のためなら」しっかりと手続きをするようにしましょう。

 

もちろんこれらの手続きをすることで明確になるメリットもあり、例えば家族が財産管理する方法の一つに「任意後見制度」というものがありますが、任意後見制度の場合、財産を管理する際に家庭裁判所が選定する任意後見監督人への報告義務があり、財産管理において制限が発生します。

 

例えば財産を売却しようと考えた場合に任意後見監督人に報告した際、承認が得られなければ売却が許されず、財産の管理権限があるのにもかかわらず制限があるという中途半端な状態になることがあるのです。

 

一方、家族信託には監督人が存在しないため、分別管理の原則の上で資産の活用を自由に行うことができます。

 

また、家族信託では相続の承継に関する取り決めも可能なので、委託者が受益者を設定するという性質上、それ自体が遺言状の代わりになるというのもあります。

 

ちなみに受益者は選択自由と説明しましたが、例えば旦那さんが委託者として受益者を妻にした場合、旦那さんが死亡した時には妻がすでにボケてしまっているということもあり得ます。

 

そのような事態に対しても方法があり、妻を受益者にした場合の財産の管理を行う受託者を事前に指定することも可能なので、円滑に相続が行えるというのもポイントです。

 

これらメリットがある一方、家族信託では「財産の管理」にのみ着目されているので、介護や医療を受けるための契約を第三者が代わりに行えない性質となっています。

 

それをクリアにするのが上記でも説明した任意後見制度なのですが、場合によっては家族信託と任意後見制度を併用することで不便を解消することができる場合もあるので、それも良いでしょう。

 

また、通常資産運用においては損益通算といって、複数の資産運用を並行して行う場合、それぞれの儲けと損失を相殺できるという制度があるのですが、家族信託では財産内で発生した損益については損益通算できないことになっています。

 

つまり節税効果は薄い場合もあるので、これについては勘違いが起きないように気をつけましょう。

 

このように、やはりメリットがあればデメリットもあるものですが、自身のケースに当てはめたときに、デメリットとなるケースが自身のケースに当てはまるか確認した上で利用すると良いでしょう🙆🏼‍♂️